熱中症に気を付けましょう!
2016年7月13日
~水分・塩分制限をされている患者さんの熱中症対策について~
梅雨明けの蒸し暑い時期に、熱中症が増えてきています。
熱中症対策として水分・塩分を取りましょうというお話をよく耳にしますが、高血圧や腎臓病・心臓病で塩分制限、水分制限をされている方はどのような対策をすればよいのでしょうか。
熱中症は、体温調節がうまくできなくなることによって起こります。
気温の上昇などで体温が上がると、血管が拡張し、血液を冷やそうとします。
また、汗をかくことで、気化熱として余分な熱を体の外に出そうとします。これらの機構がうまく働かなくなってしまう状態が熱中症です。
熱中症の予防には、体温を上げないことが第一です。
部屋を涼しくする。通気性の良い服を着る。暑い時間帯に外に長い時間出ないようにする、などの工夫をして体温を上げないようにしましょう。
何のご病気もない方は、水分・塩分をしっかり摂取することで熱中症を予防することが出来ます。
水分は、何もしていなくても汗や呼気中にだいたい1日1.3リットルぐらい失われていきます。
暑い時期に外で過ごす時間が長いと、1日にかく汗の量は3リットルほどになることもあります。運動をしたり、屋外で作業をしたりすると、汗の量はさらに増えます。
汗をかくと、水分だけでなく塩分も減ってしまいます。暑い季節にはいつもよりもずっと多くの水分や塩分が必要なことが分かります。
のどが渇いたと思ったときにはすでに脱水になっています。のどが渇く前に、こまめに200mlぐらいづつの水分を取りましょう。
お水よりも、塩分等が入ったスポーツドリンクや熱中症対策水が有効です。
外を歩く場合には、さらに多くの水分を取った方が良いと言えます。
また摂取する水分は冷たすぎないように気を付けましょう。
さて、ここで問題になるのが高血圧で塩分制限をしている患者さん。
心臓や腎臓が悪くて、水分・塩分の制限をしている患者さんがどのように熱中症対策をすればよいかということです。
高血圧の患者さんで、心臓や腎臓が悪くない方は、健康な方と同じように水分や塩分を補充していただいても、ほとんど問題にはなりません。
普段の塩分制限はそのままで、水分として摂取するものはスポーツドリンクや、熱中症対策水のようなものをしっかりとっていただいて大丈夫です。
心臓が悪い方は、水分や塩分が多いと、心不全を起こすことがあります。
屋外での作業は厳禁です。やむを得ない場合は、30分ごと、を目安に100ミリリットル程度の水分をスポーツドリンクなどで取ります。
一度に大量の水分を取ることは控えましょう。
極端に汗が出るような場合には、200ミリリットルを目安に水分を補充します。
腎臓が悪い方は、脱水によって腎臓の機能がさらに低下する場合があります。
のどが渇いたと感じるのは、すでに脱水になっており、腎機能を低下させますので、汗をかいたらすぐに水分を補充する必要があります。
いつもより尿の色が濃い、トイレに行く回数が少ないというのも脱水のサインです。いつも通り尿が出ているかどうか、気に留めてください。
脱水は、採血検査や超音波の検査で診断をすることが出来ます。熱中症の時期の体調は日々変わってきます。昨日大丈夫だから今日も大丈夫ということにはなりませんので、体調がおかしかったら医師に相談しましょう。また、重症の心不全や腎不全のある方は、あらかじめご相談された方が良いでしょう。